沖縄県において、全製造業に占める出荷額、従業者数の割合がもっとも大きいのは食品・飲料製造業です。私は、沖縄の自立産業の大きな伸びしろは、この分野の製造業にあると考えています。
新型コロナウイルスの感染拡大により、あらゆる分野の産業が打撃を受けていますが、食品製造業には、自動車や家電、それらの部品や資材などを製造する工業とはことなるリスクを抱えています。それは、在庫品である食品や原材料に賞味期限があるということです。その資産価額は、時間がたつと共に減っていき、ほどなくして0(ゼロ)になります。
沖縄をはじめ、他の地方でもそうですが、地域の食品産業はその地の農業・畜産業・水産業などの一次産業との連関が大きく、地域産業と雇用を支えている重要な存在です。その食品産業の特性を踏まえた中小企業支援及び地域支援を国や自治体には講じていただきたいと思います。
その一つとして、既に民間ベースで取り組くむグループが生まれていますが、食品在庫の現金化を促進させる仕組みづくりを行政側からも支援する必要があるのではないでしょうか?
賞味期限のある在庫を抱えて困っている食品製造業者がある一方で、自家消費用、業務用、原材料用として必要としている人や事業者もいるはずです。これら両社をショートカットでマッチングできるような体制の構築・強化が急務であると思います。民間による活動の立ち上がりと、それを喚起し支援する行政の支援が。
写真は拙稿、「沖縄県の食品産業における中小企業支援としての産学官連携の要諦」南方資源利用技術研究会誌、Vol.33 No.1, 25~34, 2018 より抜粋
