「沖縄経済と業界発展」(編集:1950倶楽部 発行:光文堂コミュニケーションズ 2021年3月 )
この本は、1950年に沖縄で創業した下記の企業で結成された1950倶楽部というグループの、活動の締めくくりとして出版されたのだそうです。
株式会社赤マルソウ/株式会社新垣具郎商店/新垣産業株式会社/沖縄食糧株式会社/沖縄バス株式会社/光文堂コミュニケーションズ株式会社/株式会社屋部土建/株式会社りゅうせき/琉球海運株式会社/琉球物流株式会社/大同火災海上保険株式会社
1950年とはどういう時代か。沖縄戦が1945年、サンフランシスコ講和条約の調印が1951年です。この時期に萌芽し、70年以上存続している企業。
こういう構成になっています。
第一章 琉球・沖縄の経済発展史(沖縄大学経法商学部准教授 大城淳)
第二章 沖縄産業発展のあゆみ(専修大学経営学部教授 山内昌斗)
第三章 自立型経済への挑戦~地場産業の果たす役割~(琉球大学名誉教授 大城肇)
第四章 両利き経営と沖縄の可能性~持続的成長をめざして~(琉球大学国際地域創造学部教授 與那原建)
そして、沖縄タイムスと琉球新報の7人の記者が22篇ものコラムを執筆しています。
全編通読したあとの「あとがき」がなんとも感動的です。
地獄のような戦争と、その後に待っていた厳しい軍政時代の中からビジネス・産業を芽吹かせた先人達のDNAが今もなお社会に受け継がれ、そしてこれからの新しい時代を築いていく。そのことが本書で確認できます。
「明けない夜はない」という慰め言葉がありますが、時代の変化を乗り越えるリーダーはまだ暗いうちから「夜明けに備える」ものではないかと思います。
最終章である第四章では、沖縄の地場の企業が、新しい事業機会を探索し、的確に捉え、それを育てていくための組織の在り方と、その時の経営リーダーが担うべき役割について提示されています。
かなり説得力があります。
