小林製薬の紅麹サプリの件について(2024.3.27現在)


2024/3/27

小林製薬の紅麹サプリの件について(2024.3.27現在)

小林製薬の紅麹サプリの件に関して。

  肝心な部分はまだ明らかにされていないので、限定的な考察しかできませんが、沖縄の豆腐ようの製造にも紅麹は使われているので、これまで紅麹に関わってきた者としてコメントします。

  現在(3月27日午前9時)までの報道によると、小林製薬のある一部の期間に製造された紅麹に別の微生物が混入していた可能性が指摘されています。
 
 紅麹とは、蒸した穀粒(主に米)に紅麹菌を生育させたもの言います。
紅麹菌は中国や沖縄で伝統的に使われてきた食用微生物で、これまで安全だった菌が突然毒素を作り出すというのは非常に考えにくいことです。もしそういうことがあるとすると、味噌も醤油もお酒も、チーズもヨーグルトも納豆も危ないということになります。発酵食品として食用化されている微生物は、歴史の中で選び抜かれてきたもので、豆腐ようなどに使用されている紅麹菌もその一員です。

 なので、今回の小林製薬の事故は、異物混入事故と見た方がいいのかもしれません。まだ原因が特定されていないので、あくまでも現時点での考察ですが。

 沖縄の伝統的発酵食品である豆腐ようにも紅麹が使用されていますが、沖縄には、紅麹菌を自社で保有・管理し紅麹を自社で製造(製麹)できる会社と、そうでなく他者から紅麹を仕入れている会社があります。

 前者の企業は、沖縄県内に以前から複数社ありましたが、今日現在の時点で私が紅麹を自社生産していることを確認しているのは名護市にある(株)マキ屋フーズです。同社は、応用微生物学を専門に学び40年近く紅麹菌を扱ってきた技術者が創業した会社であり、関係者以外は入れない厳密な品質管理の下で紅麹を製造しています。

 後者の企業の場合、私の方で確認はできませんが一般的には適切な品質管理が行われている紅麹メーカーから仕入れていると思われます。小林製薬から紅麹を仕入れている企業もあると思われますが、今朝の琉球新報・沖縄タイムスの報道によると、問題となった原材料は沖縄の企業には供給されていない趣旨の説明が小林製薬からあったようです。

 紅麹菌と呼ばれるMonascus属のカビには、一部シトリニンというカビ毒を生産するものがあります。このことは昔から知られていることであるため、紅麹を製造するメーカーはシトリニンを生産しない菌を選抜して紅麹を作っています。今回の小林製薬の製品・原料にはシトリニンは検出されなかったと報じられていますし、また、沖縄で紅麹を自社生産している(株)マキ屋フーズも、自社の紅麹とそれを原料とした加工食品にシトリニンが検出されないことを確認しています。

 3月27日午前9時の時点で考察できるのは以上ですが、取り急ぎコメントしました。
 新たな事実の報道を待ちたいと思います。(2024年3月27日)



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