有限会社開発屋でぃきたん

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その願いを沖縄風に“でぃきたん”と表現しています。

2020/7/31

産学官連携の要諦③

1.地域資源活用産業の重要性

⑵ 沖縄県における食品産業の社会的役割
 戦後初めて沖縄県民が参画し、県が主体的に策定した「沖縄21世紀ビジョン」(平成22年3月発表)は、地域産業の振興戦略として、沖縄県独自の農林水産物や地理的・文化的環境を経済発展の資源と捉え、農林水産業、食品加工業、流通・販売および観光業等が連携して高い付加価値を生み出す「おきなわブランド」を創出し、優位性のある資源を活用した地域密着型産業の振興を企図している4)
 沖縄県の平成26 年工業統計調査結果5)によると、全製造品出荷額において食料品、飲料およびたばこの占める割合が34.7%と最も大きく(図1)、従業員数は全体の52.9%に達する(図2)。沖縄県の全産業中の食品産業の占める割合は全国で比べても高い。農林水産省食料産業局によると6)平成21年度の実績として、出荷額の割合の高さで鹿児島県、北海道に次いで第3位、従業員数の割合では第1位となっている(表2)。
 沖縄県、鹿児島県および北海道に共通するのは、自然環境や地理的特性が独特であり、個性的で魅力的な食料資源を産していることである。なかでも、沖縄県は亜熱帯性気候下にあり、サンゴ礁海域や汽水域、深い原生林を有する上に、固有の歴史文化を背景に独特かつ多様な生物種と食資源を保持している。
 沖縄県の地域資源を活用した食品産業は、現状の規模においてはまだ小規模であるが、筆者は次の理由から自立経済への大きな “伸びしろ”として、一層の振興が図られるべきであると考えている。何よりもまず、食品産業とは「食」という普遍的価値を創造する産業である。食品は人々の生命と健やかな成長を支えるために不可欠なものであると同時に、生活や社会活動に潤いや楽しみを与え、文化の継承と創造を担っている。また、多くの食品製造業は、地域密着・住民参加型の中小零細企業であり、幅広い層の地域住民に対して就業機会を提供している。 さらには、会社経営への参加や特産品による農漁村起業の道も地域住民に対して開かれている。
 こうした社会的機能を有する沖縄県の食品産業は、農林水産業はもとより、観光産業との連動による高い付加価値を創造できる潜在力があり、外貨を獲得する移輸出註2)型産業としての拡張性が期待されている。とりわけ、模倣困難性の高い独特な薬用資源等を活用した沖縄県の健康食品産業の総出荷額が100億円弱で推移7)している状況において、日本の健康食品市場が7500億円(矢野経済調べ)8)に達することに鑑みると、市場競争力向上に向けた販路開拓と研究開発等を含む課題解決は、本県食品産業の大きな躍進につながるものと期待できる。

註2)移輸出:県内で生産された商品が県外へ販売されることが移輸出であり、国内への移出と国外への輸出からなる。
4)沖縄県(2010「沖縄 )21世紀ビジョン(将来像3希望と活力にあふれる豊かな島)」  http://www.pref.okinawa.jp/21vision/htmlver2/pas_3.html
5)沖縄県「平成26年工業統計調査結果(従業員4人以上の事業所 )」http://www.pref.okinawa.jp/toukeika/cm/26/k/cm_k.pdf
6)農林水産省食料産業局(2012「食品産業の将来ビジョン参考資料(3)」p. 14. http://www.maff
7)沖縄県健康産業協議会(2017「くすいなたん」)2017年夏号
8)矢野経済研究所(2017)プレスリリース「健康食品市場に関する調査を実施」https://www.yano.co.jp/ press/press.php/001644




南方資源利用技術研究会誌 Vol.33 No.1, 25~34, 2018
総説「沖縄県の食品産業における中小企業支援としての 産学官連携の要諦」より転載


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有限会社開発屋でぃきたん
代表取締役 照屋隆司

農学修士(農芸化学専攻)
技術経営修士(MOT専門職)
NR・サプリメントアドバイザー
産業カウンセラー

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