有限会社開発屋でぃきたん

食品開発・食品表示・食品安全
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その願いを沖縄風に“でぃきたん”と表現しています。

2020/8/4

産学官連携の要諦⑤

2.経営課題解決策としての産学官連携

⑴ 技術的課題解決のアーキテクチャ
 食品の開発・製造の現場における技術的課題は、複合的に存在する。産業技術が多岐にわたる分野の要素技術の高度な “組み合わせ(モジュラー型)” と “擦り合わせ(インテグラル型)“ 、すなわちアーキテクチャによって構築されることは言うまでもな いが、中小零細企業の食品製造においても、いかに目的にかなった技術の組み合わせ・擦り合わせをできるかが製品開発を成功に導く鍵となる。
 技術的課題は、学術分野の違いに基づいて分類され、然るべき専門の知識や技術にその解決を求めることになる。一方で、実践上は技術流通の観点に基づいて、その解決手段を区別することが必要となる。特に、大企業に比べて自社で保有する技術範囲が狭い中小零細企業が、多様なニーズと時代の変化に合 わせて食品等の最終製品を生み出すためには、外部の技術を上手く取り入れながら自社の製品開発に適 用するプロセスが開発工程の重要な部分を占めることが多い。
 沖縄県の中小零細の食品製造事業者が抱える技術的課題の多くは、最終製品の製造技術(製品化技術)に関するものである。図3に例示するように、製品化技術の多くは実用化の達成度に応じて、サプラ イヤー企業や公設試験場、研究機関等を流通してい る。注意しなければならないのは、企業が抱える技術的課題の解決を、“どのチャネルに求めるべきか” を考察し、適した技術チャネルとのマッチングがなされなければならないということである。
 例えば、ある食品のプロトタイプに対して県外流 通を目論み、保存性の向上を付与させたい場合、多くのケースにおいて最初に検討されるべきは添加物 や充填包装技術の導入・適用である。添加物としては、保存料や pH 調整剤、酸化防止剤およびその他 の日持ち向上剤が候補としてあげられる。充填包装 技術としては、様々な加熱殺菌充填技術や真空包装、ガス置換包装、脱酸素剤および抗菌性包装資材等の導入が検討される。食品の本質や劣化要因と実現したい保存期間等に応じて、これらの技術が組み合わされることになる。しかし、実用化された技術は、 添加物や充填機械・包装資材等のメーカーや販売代理店によって、技術情報や技術サービスを伴って提供される。また、こうした外部技術の導入の他、自社で行うべき水分活性調整や成分設計、加工方法の改善および製造現場の衛生管理などについては、公設試験場が相談・指導体制を整えている。また、筆者もこれらの開発工程に関するコンサルティングを実施している。
 このように、最終製品の品質目標を達成するための手段の多くは、外部技術の組み合わせと擦り合わ せで解決でき、既成の製品化技術のサプライヤー企業がその中心を担い、公設試験等の技術支援機関が側面支援を行う。一方、大学等の研究機関は、既成 技術では解決しえない課題について新規な解決方法 を見出したリ、未知の機能性の発見や未利用資源の 有効利用に関する研究などのステージで産業界に貢 献する。このように産学官を媒体として技術が流 通する業界構造の中で、食品分野に関する専門高等教育を受けた人材を必ずしも擁していない中小零 細企業の開発担当者は、外部に技術資源を求める際のチャネル選択を適切に行えない場合が少なくない。 このことを踏まえ、産学官連携においては、技術的課題解決手段のミスマッチを防ぐためのサポートが 必要とされている。


南方資源利用技術研究会誌 Vol.33 No.1, 25~34, 2018

総説「沖縄県の食品産業における中小企業支援としての 産学官連携の要諦」より転載
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有限会社開発屋でぃきたん
代表取締役 照屋隆司

農学修士(農芸化学専攻)
技術経営修士(MOT専門職)
NR・サプリメントアドバイザー
産業カウンセラー

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