有限会社開発屋でぃきたん

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その願いを沖縄風に“でぃきたん”と表現しています。

2020/8/6

産学官連携の要諦⑥

2.経営課題解決策としての産学官連携

⑵ 産学官連携体の構築
 企業の経営革新のために挑戦されるイノベーションは、従来技術の改変を行う漸進的イノベーション (incremental innovation)と、従来技術に依らない抜本的イノベーション(radical innovation)に区別される。中小零細規模の食品製造事業者が取り組む製品開発のイノベーションの多くは前者である。その場合、事業者が保有するコア技術に、研究機関等の新技術を融合させることが典型的な連携モデルとなる。こうした産学官連携の製品開発においては、コア技術と新技術の融合がマッチングし、実用化に至るまでに新たに派生する諸課題に対応した周辺技術の適用を、製品開発計画のサブテーマとして盛り込む必要がある(図4)。
 例えば、ある発酵食品の保健機能を強化するために研究機関がスクリーニングした優良菌株を新規に導入しようとする場合、微生物の培養技術や機能性の評価のみならず、安全性やコスト、総合的な実用性の評価が順次なされて行かなければならない。そのための評価・計測技術等が必要となるであろう。 また、新しい菌株の導入により、製品の味覚調整や微生物の管理・保管、品質の安定化、殺菌充填方法の変更等が必要となるかもしれない。このような派生的課題の存在は、計画段階で認識できるものもあ れば、開発の進捗に伴って浮上するものもある。いずれにせよ、開発研究の計画と進捗管理において、派生する二次的な技術的課題に対応できる体制づく りが必要となる。
 産学官連携を推進するにあたっては、研究会と呼ばれるような連携組織の立ち上げが重要である。図5にその概念を示す。まず、企業と技術的課題解決のための必須技術の保持者、好ましくはこれに外部の第三者をアドバイザーとして加えたコアメンバーを形成する。このとき、企業には開発担当の技術者だけではなく、開発推進の意思決定権を持つ統括責任者と販売戦略や製造に関わる担当者が加わることが望ましい。産学官連携の統括責任者は、成果の事業化主体となる企業に所属し、その企業の経営戦略を理解する者でなければならない。なぜなら、開発研究の成果は、経営や販売戦略における価値尺度で評価されなければならないからである。アドバイ ザーとしては、他の産学官構成員と利害関係を持たず、企業側のスタンスで助言やコーディネートを行なえる人物が望ましい。コアメンバーは、前述のような派生的な技術的課題を予測し、適宜専門家や周辺技術とのマッチングが行える体制をとる。派生する課題は、市場動向や開発の進捗状況によって変わる可能性があるので、対応する専門家や周辺技術提供企業は、交代可能な関係性に留めておくことが望ましい。研究会の最も重要な役割は、研究成果のビジネスモデルを立案することである。その為、市場調査は研究会にとって欠かせない仕事である。企業の成長戦略に則ったビジネスモデルを想定し、それを実現するための研究計画を立案・統制しなければならない。




南方資源利用技術研究会誌 Vol.33 No.1, 25~34, 2018

総説「沖縄県の食品産業における中小企業支援としての 産学官連携の要諦」より転載
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有限会社開発屋でぃきたん
代表取締役 照屋隆司

農学修士(農芸化学専攻)
技術経営修士(MOT専門職)
NR・サプリメントアドバイザー
産業カウンセラー

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