2020/8/18
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おわりに |
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おわりに
筆者にとって、琉球大学大学院農学研究科に在籍 していた時の修士論文研究は、産学官連携に関わっ た最初の体験であった。その時、筆者をご指導くださった故・当山清善名誉教授、故・石原昌信教授、そして当時「官」の立場で産学官連携の基盤づくりに尽力された故・照屋輝一氏、この三師への感謝の念は尽きることがない。以来28 年、ほとんどの期間を通じて産学官連携に関わってきた。本稿は、筆者が自身の失敗と成功から学び得た産学官連携の要諦と思われるものをまとめた。 近年、外部の組織と技術資源を交換しながら研究開発を推進する “オープンイノベーション” が、一つの研究開発手法として重視されるようになっている。しかし、中小零細企業にとって新製品開発推進のために外部の技術資源にアクセスすることは、普遍的な手法と言っても過言ではない。食品製造事業者のように、要素技術の最終的な集積体である消費財を製造する企業にとっては、この手法はなおさら重要である。 大学や研究機関、行政機関はそれぞれが異なるスタンスの使命を持っているが、中小企業の支援を目的として構築される場合の産学官連携とは、「学」と「官」が持つ使命及び機能が「産」の支援という共通項で連結することを意味する。産学官連携の成功率を高め、中小企業の市場競争力が強化されることで、沖縄経済の自立化が一層促進されることを願ってやまない。 以上、 南方資源利用技術研究会誌 Vol.33 No.1, 25~34, 2018 総説「沖縄県の食品産業における中小企業支援としての 産学官連携の要諦」を9回に分けて転載いたしました。 ![]() |
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