有限会社開発屋でぃきたん

食品開発・食品表示・食品安全
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その願いを沖縄風に“でぃきたん”と表現しています。

2021/5/27

フリカケ栄養学に注意

商品の広告をつくるときに、健康によいということをアピールしたくなる時があります。

一言で「健康に良い」と言っても様々です。
低カロリー、低脂肪、健康に良い成分が摂取できる、栄養バランスが良いなど。
最近は、生活習慣病や認知症などの予防につながるようなアピールもよく見られます。
正しく言うと、「予防」という言葉は、食品の商品価値として表現することは法規制に触れます。
「予防」という言葉を用いずに、その商品に期待される保健機能をアピールすることは、国の保健機能食品制度として一定のルールが決められています。
それは、保健機能のアピールは一定水準以上の科学的根拠(エビデンス)に基づいていなければならないということです。

一定水準以上の科学的根拠とは、少し難しい言い方になりますが、
ヒトを対象とした介入研究または観察研究で統計学的に有意と判断された研究成果があることです。

ところが、ヒトを対象とせずに、試験管内の化学反応や、培養細胞を用いた実験、あるいはマウスなどを用いた動物実験のデータを根拠にして、あたかも保健機能が証明されたかのように広告宣伝されることがあります。これは、ほとんどのケースで不当表示または健康増進法違反になります。

たとえば、実験室で培養した培養細胞の培養液にある植物のエキスを添加すると、その培養細胞に何らかの良い効果が表れたとします。そうするとこの実験結果をもって、その植物を原材料としてつくられた食品に保健機能があると言えるでしょうか?

食品は口から摂取されます。口から胃、腸という消化器官を通ることで、胃酸や様々な消化酵素によって消化されます。その消化物が腸管から吸収されます。吸収された物質は人体の栄養になるものは体内で蓄えられたり利用されたりしますが、植物から摂取される薬理作用のある物質などは、吸収されたとしても体内の器官や組織で分解または無作用化されます。体外から入ってくる栄養素以外の物質(異物)から体内を守る防御として、そういうはたらきがあります。

口から摂取された成分は、こうした長い道のりを経て体内で部分的に残存し、体の中の然るべき場所に届いてその機能が発揮されたときに、健康に良いといわれる現象が起こるわけです。

だから、裸の培養細胞に直接植物エキスをふりかけた時に何らかの効果が認められたからと言って、それを食事として摂取したときに同じ効果が得られるとは言えないのです。

そういうことを無視して、試験管や培養細胞などでの実験結果を根拠に、あたかもその食品に同様の機能があるような見解を述べることを“フリカケ栄養学”などと言って学術界では批判されます。

では、せっかく研究をして、培養細胞や動物実験で新しいことがわかっても、それを消費者に知らせてはいけないのか?
そうではありません。どのようなレベルの実験であるのか?それがヒトでの機能性として証明されたわけではない。ということをちゃんと理解してもらえるような、消費者に誤解・誤認・誤用をさせないような、事実に即した情報提供であれば良いわけです。

試験管や培養細胞での実験、動物実験などは、やがてヒト介入試験まで行われるまでの探索(ふるい分け=スクリーニング)していく過程での、意義のある研究として必要不可欠なのですが、それだけで機能性をアピールする十分な科学的根拠とは言えないのです。

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有限会社開発屋でぃきたん
代表取締役 照屋隆司

農学修士(農芸化学専攻)
技術経営修士(MOT専門職)
NR・サプリメントアドバイザー
産業カウンセラー

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