2021/8/30
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“ぬちぐすい王国”沖縄、素材力の源泉 |
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ウコン、モズク、シークヮーサー、クワンソウ、紅イモ、フーチバー、パパイヤ…
健康産業界の最大手メディアである「健康産業新聞」は、2019年6月19日発行の第1670号で、別冊の沖縄特集を発行しました。その時に紹介された沖縄産の健康素材は37種。別冊ができるくらい沖縄には健康素材が豊富にあることがこのことからわかりますが、実際に私たちが沖縄の生活現場や健康産業界の中で体験したり見聞きする健康素材の種類はその数をはるかに上回ります。 ではなぜ、沖縄にはこれほど“ぬちぐすい”と言われる健康素材や食材、健康料理が多いのか。考えられる理由を3つ挙げたいと思います。それは ①亜熱帯性気候 ②島嶼地域 ③琉球王国時代 の三条件です。 亜熱帯性気候下にある沖縄は、熱帯と温帯の境界域にあり一年中温暖で、そして強い紫外線にさらされています。境界域に生息する多種多様な植物は、周年を通じて天敵である昆虫類や微生物などから、また、降り注ぐ紫外線から身を守らなければなりません。その生体防御として植物は様々な2次代謝産物(植物性化学物質、Phytochemiclals)を生成します。その中には強い抗酸化力を持つものや、人間に対しても生理活性・薬理活性を発現するものが多く存在します。 沖縄は四方を海に囲まれ、数多くの小さな島々で構成される島嶼地域です。多様な海洋生物資源に恵まれていると同時に、生物多様性を育むサンゴ礁海域や、沿岸には真水と海水が入り混じりマングローブが広がる汽水域も多く分布しています。こうした多様性に富む環境に加えて、台風の通過点であり、また一年中潮風にさらされます。生物種が豊富であると同時に、陸上の植物も海洋性ミネラルに富むものとなり、更には塩分のストレスから身を守るための抗酸化物質、また強風の中で生体をしっかり支えるための食物繊維が豊富に蓄えられます。 そして琉球王国時代。この時代は、大交易時代とも呼ばれ中国や東南アジアとの交易により様々な食材が持ち込まれて定着し、独自の食文化が育まれ、医食同源文化が形成されました。その象徴的な古書が、琉球国の医学者である渡嘉敷通寛が著わした「御膳本草」。現代でも、この御前本草に収載されている素材が活かされた健康食品が開発されています。 こうした三条件により、沖縄は“ぬちぐすい王国”とも呼べる健康素材の宝庫となっていると考えられます。 これらは大自然からの恵みであり、先人から受け継いでいる大変貴重な沖縄の資源だと思います。これを上手に活用し、そして持続させていく取り組みが求められます。 ![]() |
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