2022/3/16
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食品製造におけるコンプライアンスの影響 |
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以前のブログでも触れましたが、
20年ほど前のことですが、 ある清涼飲料の開発を支援している時にこういうことがありました。 その飲料の風味を爽やかにするために、香料は使用せずにその頃人気の出ていたある果物の果汁を配合することを考えました。 ところが、その果物の果汁は国産の供給が追い付かない状況でなかなか調達先が見つかりませんでした。 そこにある食材卸業者から、輸入果汁の供給提案がありました。 清涼飲料水の原材料として輸入果汁を使用することは極めて一般的なことです。 それ自体は何の問題もありません。 しかし、この時食材卸業者から提案された輸入果汁の原料果実は、私たちが採用しようと考えていた果実とは異なる名称のものでした。 そのことを業者さんに問い合わせてみると、 名前は異なっているが、実際は探していた国産の果汁の果実と同じなので国産果実の名前を表示しても大丈夫だという説明を受けました。 「ほんとに大丈夫なのだろうか?」 と、開発担当者から相談を受けた私は、 その輸入果汁の原料果実が本当に探していた国産のものと同じなのかどうかをいろいろ調べてみましたが、業者さんが言うように名前は違っても種類としては同じであるという根拠を見つけることができませんでした。 それで開発担当者に、その輸入果汁の提案を断るように助言しました。 開発していた清涼飲料水には別の果物の果汁を使用することにしました。 それからしばらくたって、他社の製品でその輸入果汁を使用して実際とは異なる原材料名を表示しているという指摘が行政機関からなされ、JAS法違反ということで騒ぎが起きてしまいました。 もしあの時、業者さんの説明を鵜呑みにして、提案された輸入果汁を採用し異なる果実名を表示していたら、私のクライアント企業は大変な損失を被ると同時に、消費者や取引先からの信用を失い、長年かけて社会に浸透させてきたその会社のブランドが傷つくところでした。 それを避けることができて良かったです。 消費者向けに製造される最終製品(加工食品や飲料)は、多種類の原材料や食品添加物が組み合わされてつくられます。 もし、原材料や食品添加物が適正でないつくられ方や販売のされ方をしていた場合は、それを使用した最終製品に影響が出てしまいます。 ですから、食品原料や食品添加物のメーカーはもちろんのこと、 それを卸売りする中間業者は、自社が取り扱う原料製品や添加物が適法に供給されているものかどうかをチェックする必要があります。 いうまでもなく最終製品のメーカーも、自社が使用する原材料や食品添加物の素性をよく調べ、 適切な供給者と取引きを行わなければならないでしょう。 そのためには、 商談用とは別に、自社管理用の製品規格書(仕様書)をつくって原材料や添加物の供給元を明記し、 それぞれの原材料、添加物の受け入れ基準や業者選定基準をルール化し、 原材料規格書を設けて管理することをおすすめします。 支援事例 ![]() |
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