2022/6/20
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人気メニューの商品化は食品表示に注意! |
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新型コロナ禍で大きなダメージを受けた飲食店は、事業再構築補助金や事業復活支援金などを活用してセントラルキッチンを設置したり、人気メニューを店舗外へ販売できるように商品化に取り組むというチャレンジが多くみられます。
NHK連続ドラマ「ちむどんどん」ではシークワーサーや沖縄そばなどの食材や料理が毎日登場し、消費者の需要もかなり喚起されていることでしょう。 これをチャンスととらえて、今、メニューの商品化を考える飲食事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか? 飲食店が包装された食品を出荷しようとする場合、いくつか越えなければならないハードルがあります。それは、 ①営業許可(惣菜製造業、ソース類製造業、菓子製造業などの追加許可) ②食品の包装・保存方法の確立、賞味期限の設定 ③食品表示基準に則った食品表示、栄養成分表示の作成 これらの課題は当事者である飲食店も、それを支援する方もご存じと思われますが、商品化の過程で見落とされてがちな食品表示における“ある事情”について、商品企画の段階で知っておいたほうが良いことがあります。 それは、食品表示基準に基づいた一括表示の原材料表示における「複合原材料」の取り扱いです。 ![]() しょうゆや調味料、味付け済みで仕入れる具材やカレールー、フルーツのシロップ漬けなど、2種類以上の原材料で構成された加工食品が最終製品の原材料として使用される場合、それを「複合原材料」と呼びます。 複合原材料を商品の製造に用いる場合は、基本的にはそれに含まれるすべての原材料及び添加物の名称を表示しなければなりません。 レストランや居酒屋等の飲食店で料理に使用されている調味料などの複合原材料は、数多くの原材料で作られていたり、アレルゲン表示が必要な食材が一部使われていたり、添加物も頻繁に使用されています。 厨房で料理を作るときはあまり問題になることはありませんが、包装食品として商品化する際には、これらを明確に表示しなければならないという課題に向き合うことになります。 ただし、複合原材料が製品の5%未満であったり、複合原材料の名称からその中の原材料が明らかである場合は、複合原材料の原材料表示を省略することができます。 また、複合原材料中の原材料の使用割合が重い順で3位以降で、かつその使用料が複合原材料の5%未満である場合は、複合原材料中の3位以降の原材料を「その他」で表すことができます。 でも、その他というのは消費者からみるとあまりいい気持ちはしないかもしれません。 このように、表示を簡略し見やすくする目的である程度の省略は認められているのですが、それでもアレルゲン食材として表示が義務付けられている「特定原材料」の表示は必ず行わなくてはなりません。 それから、複合原材料に添加されている添加物も、次の場合を除いては省略することができません。 複合原材料中に含まれる添加物で、最終製品の原材料表示から省略できるのは、複合原材料から最終製品中に移行する添加物の量が微量で、なおかつ、その添加物が最終製品では機能していない場合です。 例えば、業務用に仕入れたフルーツソースを一部使って、オリジナルな特性スープを作り、それを商品化したとしましょう。 そのフルーツソースが保管中に分離しないように増粘剤が添加されていたとして、特性スープの中ではもうその増粘機能は働いていないとしたら、その増粘剤は特性スープの一括表示には表示しないで済みます。 しかし、そのフルーツソースに着色料や香料が使われていて、その色や香りが特性スープの色合いや風味にも影響を与えているとしたら、これらの添加物は特性スープの添加物して表示しなければなりません。 また、仮に前者の増粘剤のように添加物表示の省略が可能だったとしても、その増粘剤に小麦や卵などアレルゲンとして表示が義務付けられている特定原材料が含まれているのであれば、そのことは明確に消費者にわかるように表示しなければなりません。 もちろん、複合原材料中の添加物の表示が省略できたとしても、「添加物不使用」とか「無添加」という表示はできません。 複雑で難しい課題ですが、飲食店が外への販売目的で包装食品を開発しようとする場合は、複合原材料表示の複雑さを考慮して、厨房で通常使用している調味料や加工食材とは別に、もっとシンプルな加工品を原材料として使うようにしたほうがいいかもしれませんね。 支援事例 |
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