2023/8/1
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食品表示“一元化”の思い込みに注意! |
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食品の表示に関するルールである「食品表示基準」を定めた食品表示法は、2013年に制定されて2015年から施行された新しい法律です。 この法律が施行される前は、 食品の品質表示の仕方や名称の定義、遺伝子組み換え農産物の分別表示については農林水産省のJAS法、 添加物やアレルギー、消費期限、製造者などに関しては厚生労働省の食品衛生法、 栄養成分の表示や保健機能の表示については同じく厚生労働省の健康増進法によって規定されていました。 この三つの法律の食品表示に関わる部分を集約して食品表示基準としたのが食品表示法です。その意味で、3つの法律が“一元化”されたとよく言われます。 しかし、実際に事業者が商品を開発し表示を行おうとしたとき、食品表示基準だけを見れば問題なく表示を作成できるかというと、そうではありません。 食品表示基準の他に、計量法、薬機法、健康増進法、景品表示法とそれに基づく公正競争規約も参照する必要があります。 たしかに、食品表示基準にはこれらの法律に準ずる内容とはなっていますが、食品表示を作成するという実務の観点からいうと、具体性に欠けていたりして、結局はこうした他の法律の基準を参考にせざるを得ないという実情があります。 例えば、内容量の表示について食品表示基準にどう規定されているかというと、まずは計量法に従いなさいとされています。ただし、計量法は特定の商品のある一定の範囲の量についてのみ内容量表示の仕方が規定されています。 これを特定商品、特定物象量と呼びますが、かなり多くの食品が特定商品に指定されているので、計量法を参照しないといけないケースは頻繁にあります。 そして、計量法に示されている特定商品・特定物象量に該当しない商品の内容量については食品表示基準で具体的に規定されている、という状況です。 また、実際のものとは異なるような誤認をさせてしまう表示についても食品表示基準で禁止されてはいますが、誤認させる内容かどうかをどう判断すればいいのかについては、景品表示法や公正競争規約を見なければなりません。 それが保健機能に関することであれば、健康増進法の誇大表現禁止の考え方を参考にする必要があります。 また、薬機法、改正前は俗に薬事法と呼ばれていましたが、この法律は無承認無許可の医薬品を販売することを禁止しています。つまり取り締まりの対象は医薬品なので、その規程はそもそも食品の法律には盛り込まれません。 口から摂取するものの用途や形状、ネーミング、キャッチコピー、含有する成分などからこれは食品ではなく医薬品であると判断する、その基準は薬機法に定められています。健康食品の表示を考えるときは、薬機法を考慮せざるを得ないということがあります。 こういう実情がありますので、一元化されたということを過大視して食品表示基準だけを見ていると、気づかないうちに問題のある表示をしてしまうということもありますので、ご注意ください。 また、JAS法、食品衛生法、健康増進法の食品表示規程が一元化されたことで、その監督省庁も消費者庁に一元化されましたが、その組織の一元化が都道府県でも行われたわけではありません。沖縄県の食品表示に関する相談窓口は旧来のままの縦割りになっています。一括表示については県農林水産部の流通・加工推進課、添加物表示や栄養成分表示については保健所です。計量法に関しては計量検定所。このように、表示の内容によって相談窓口が部を超えて異なっている点もご留意ください。 ※このブログの内容は ポッドキャスト「沖縄食品開発の5分間マメ知識 ここ要チェックです!」 でも聴くことができます。 |
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