有限会社開発屋でぃきたん

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2024/3/25

もろみ酢の安全性について(見解)

泡盛の米麹から作られるもろみ酢の安全性について(見解)

 小林製薬(株)は、同社が販売した紅麹を原料とするサプリメントの利用者の中に腎疾患等を発症した人がいたことから、自主的に当該製品の回収を行う旨を2024年3月22日に発表しました。https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2024/20240322/

 さて、沖縄の伝統的な蒸留酒「泡盛」の蒸留粕を圧搾した清涼飲料である「琉球もろみ酢」が長年多くの方に愛用されていますが、今回の小林製薬による発表の余波として泡盛麹(俗に黒麹とも呼ばれる)を原料とする琉球もろみ酢の安全性についても不安の声が上がることが予想され、琉球もろみ酢流通関係者から問い合わせのご連絡をいただいておりますので、ここに見解を申し上げたいと思います。

 結論から申し上げると、この度の小林製薬が発表した事実は、琉球もろみ酢の安全性を脅かすものではありません。

 紅麹も泡盛麹(黒麹)も同じ米麹です。米麹とは蒸した米に麹菌を生育させたものをいいます。しかし、紅麹と泡盛麹(黒麹)は、使用される麹菌が生物学的に別種のものです。泡盛麹菌はその学名をAspergillus luchuensisといい、清酒や味噌、あまざけ、料理に用いる塩こうじ等に使用されるAspergillus oryzaeと同じ属に分類される微生物です。一方、紅麹菌はMonascus属に分類され、両者は属のレベルから異なります。カビを生育させた食品である以上、当然、衛生関係機関等によってカビ毒の有無について調べられているはずですが、これまでに泡盛麹菌(黒麹菌、Aspergillus luchuensis)がカビ毒を生産したとか、これによる健康被害が起きたという報告はありません。

 食品の安全性は、その食経験(食歴)によって評価されます。1973年に石川酒造場の石川信夫氏が琉球もろみ酢の飲料化に成功して以来、たくさんの方々に愛飲されていますが、これを原因とした健康被害は報告されておらず、むしろ健康によいということを多くの方が実感され今日まで愛されてきております。

 泡盛麹菌(黒麹菌)はカビ毒を生産しないことに加え、その安全性はクエン酸を多量に生産するという特徴によっても支えられています。年中温暖な亜熱帯沖縄で泡盛が一年をとおして醸造できるのは、クエン酸の抗菌力によってもろみが雑菌汚染から守られているからです。また、クエン酸は加熱殺菌の効力を増大させます。多量にクエン酸を含む泡盛もろみの蒸留過程では、クエン酸存在下での加熱によってもろみに混入した微生物は死滅してしまいます。したがって、適正な品質管理の下で製造された琉球もろみ酢であれば、食中毒等の心配もありません。

 以上のことから、これまでと同様に、健康維持のために琉球もろみ酢を安心してご利用いただければと存じます。

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有限会社開発屋でぃきたん
代表取締役 照屋隆司

農学修士(農芸化学専攻)
技術経営修士(MOT専門職)
NR・サプリメントアドバイザー
産業カウンセラー

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